介護施設における看取りケアの目的は、人生の最終段階を迎えた方が、穏やかでその人らしく最期まで過ごせるように、身体的・精神的・社会的側面から包括的に支えることです。
単なる医療行為の提供ではなく、その方の尊厳を守り、残された時間を大切に過ごせるように配慮します。
そのために、きめ細やかなケアを提供することが重要です。
身体的な苦痛の緩和には、痛みや呼吸困難、吐き気などの症状を和らげるための医療行為や、褥瘡ケア、体位変換、口腔ケア、清拭といった快適なケアを提供します。
食事や排泄の介助においても、可能な限りご自身のペースや希望を尊重し、自尊心を傷つけないように配慮します。
精神的なケアも、看取り介護に欠かせないことです。
死への恐怖や不安、孤独感を和らげるため、ご本人とご家族との大切な時間を確保し、じっくりと耳を傾け寄り添います。
人生を振り返り、楽しかった思い出や大切な人との時間を語り合ったり、やり残したことを実現するためのお手伝いをすることもあります。
宗教や信仰への対応、音楽療法やアロマセラピーといった、その方に合った方法で心の平安をサポートすることも大切です。
ご家族にとっても、大切な家族との別れは、深い悲しみや不安、そして戸惑いを伴うものです。
介護施設では、ご家族の心情に寄り添い、看取りに関する十分な説明や不安の解消に努めます。また、看取り期のケアへの積極的な参加を促し、最後まで共に過ごせるよう、様々な形で支援を提供します。
看取りは、人生の最終章を締めくくる大切なプロセスです。