入居者の最期を介護職が看取ることを、看取り介護といいます。
介護職にとっては精神的な負担が大きな仕事ですが、今後この分野の需要が増すことが予想されています。
理由は非常にシンプルで、これまで続いてきた高齢化社会の進行がさらに進んで「多死社会」の到来をもたらすことが確実視されているからです。
高齢者が増えて、しかもその状態が長く続いていれば当然のことながら死者の数も増えるわけです。
この点に関しては、具体的なデータもあります。
2010年の時点で、年間の死者数は約120万人ほどでした。
これが2025年まで年間10万人ずつ増え続けると予想されており、さらに2030年代に入ると年間160万人に達すると考えられています。
これは、人口が多い団塊世代が80代後半に入るのが大きな原因です。
高齢で死ぬ人が増える分、介護施設において最期を迎える人が増えることになります。
国では2025年を目安に地域包括ケア体制の構築を目指していますが、それだけでなく各介護施設において看取り介護のための環境づくりも求められるようになっているのです。
介護職による看取り介護の需要が増えるのはもちろん、これが介護職の重要な役割になっていくことも考えられます。
つまり、介護職が望む望まないにかかわらず、看取り介護を担当するケースが増えていく可能性もでてくるのです。
これから介護職を目指す方は、介護業界にはこうした今後の展望があることを知っておく必要があるのかもしれません。
介護職への負担ばかりが増えないためにも、介護施設はもちろん社会全体で多死社会への備えが必要になるでしょう。